新学習指導要領・教科書改訂(中学校)|高校受験タウン

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新学習指導要領・教科書改訂(中学校)

1.学習指導要領改訂について


 2009年に実施されました「OECD生徒学習到達度調査」より,日本の児童・生徒について以下のことが明らかになりました。

①読解力・記述式問題,知識・技能を活用する問題に課題。
②家庭での学習時間などの学習意欲,学習習慣,生活習慣に課題。
③自分への自信の欠如や自らの将来への不安,体力低下の課題。


 そして、この課題を踏まえ、文部科学大臣からの要請により中央教育審議会で2年以上にわたり審議され、以下のような学習指導要領改善の方向性が答申されました。

①改正教育基本法等を踏まえた新学習指導要領改定
②「生きる力」という理念の共有
③基礎的・基本的な知識・技能の習得
④思考力・判断力・表現力等の育成
⑤確かな学力を確立するために必要な授業時間数の確保
⑥学習意欲の向上や学習習慣の確立
⑦豊かな心や穏やかな体の育成のための指導の充実

この答申を踏まえ平成20年3月28日に学校教育法施行規則を改正するとともに小学校学習指導要領・中学校学習指導要領が公示されました。平成21年度より移行措置として算数・数学・理科を中心に前倒して実施され,平成23年度より全面実施されました。
そして、学習指導要領改訂にともない、文部科学省より2012年度から中学校で使われる教科書の検定結果が公表されました。

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*学習指導要領とは・・・
小学校・中学校・中等教育学校・高等学校・特別支援学校の各学校が各教科で指導する内容を学校教育施行規則に則して定めたもの。国立・公立・私立に問わず適用される。

*OECDとは・・・
ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め約30ヶ国が加盟する国際機関。経済動向・貿易のみならず様々な分野について加盟国の分析・検討を行っている。

*OECD生徒学習到達度調査とは...
 OECD加盟国・非加盟国の15歳児の生徒を対象にする学力調査(略称「PISA」)で、2009年度の調査では約47万人が参加している。調査の分野としては、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野となっている。

 

2.中学校教科書改訂の概要


◆脱「ゆとり教育」がより鮮明に!
◆5教科合計4,015ページ、「33%」の大幅増へ!

 今回の教科書改訂においては、学習内容が拡充した新学習指導要領の内容が反映され、現行の5教科の教科書のページ数(3,106ページ)と比べ、約33%増の4,015ページと大幅に増加しました。なかでも理科は各教科書会社平均で45%、数学は平均33%と大幅な増加となりました。
 内容的には、数学や理科をはじめとし、従来までの発展的内容が通常の学習内容の扱いとなり、全体的に難易度が高くなっています。また、いろいろな文章や資料の読み取り、そして発表・説明などを行う「言語活動」やOECD生徒学習調査度(略称PISA)の結果や内容を意識した「PISA型能力(覚えるだけでなく、それらを活用する能力)」を重要視する内容が充実しています。

 新しい教科書の大きな特徴としては、
①基礎基本の徹底(小学校や全学年の復習、豊富な練習問題など)
②言語活動の充実(自分の意見の説明や発表につながる設問、各種の数値データや図や表の読み取り、レポートなどのまとめ方)
③改正教育基本法の反映(伝統的文化の尊重、公共の精神にちなんだテーマの設問、環境の保全)、が各教科の特性を考慮しながら、盛り込まれていることがあげられます。

 


【国語】
◆近代文学作品の復活。
◆教科書ページ数、平均28%増!
 新学習指導要領で求められた近代文学作品が復活し、夏目漱石「坊ちゃん」、森鴎外「最後の一句」、芥川龍之介「トロッコ」、太宰治「走れメロス」など、馴染みの作品が掲載されています。また、浅田次郎、あさのあつこ、池上あきら、重松清など最近の現代作家も登場し、中学生と同世代の子どもたちが主人公となっている小説が掲載されています。
 古典は大幅な変更ありませんが、教科書により、有名古典の冒頭文などは増えています。漢文については量が多少増えている程度です。伝統的言語文化として歌舞伎や狂言なども取り上げています。常用漢字表の扱いは、巻末一覧、本文扱いなど教科書によって対応が分かれていますが、全教科書掲載予定となっています。その他、言語活動重視の視点で、新聞の読み方などの紹介(記事の比較、新聞作り、社説の読み比べなど)がされていることも大きな特徴と言えます。

 

【社会】
◆日本地理、世界地理ともに全地域学習へ。
◆教科書ページ数平均、地理20%、歴史18%、公民19%それぞれ増加!

 地理は、世界地理、日本地理ともに全地域学習となり、地方別、地域別の項目が追加されています。
 歴史は、時代の特色と、なぜ移り変わっていくのかという流れを把握させていく内容となっているとともに、単元ごとに、キーワードを使い、短い文章で要点や自分の意見をまとめさせたりするような設問が掲載されてきています。現行教科書では掲載されていない「四大文明」の詳細や「三大宗教」、「中世ヨーロッパ」などの世界史事項の内容が復活しています。
 公民は、昨年より話題になっている裁判員制度の内容や仕組みが取り上げられています。そして、伝統文化・宗教観についての記載が各教科書とも目立っています。また、単元ごとの導入部分において、「対立」と「合意」、「効率」と「公正」という概念を用いて、社会生活の問題に向き合わせる内容が用いられていることも大きな特徴と言えます。

 

【数学】
◆スパイラル的要素が充実! 
◆教科書ページ数平均、33%増!

 現行教科書では発展として扱われている「球の表面積と体積」(中1)、「二次方程式の解の公式」(中3)などが復活し、その影響で、今回の改訂での大幅ページ数増加なっています。
 改訂の大きな特徴のひとつとして、スパイラル的要素が取り入れらており、中1では小学校の内容、中2・3では前学年の内容などが随所に散りばめられています。
 また、言語力を重要視する点から、単に計算問題を解かせていくという従来の流れではなく、「ことばで説明しなさい」「その訳をこの公式を使って説明しなさい」などといった思考力・表現力育成のページが充実している点が目立っています。

 

【理科】
◆1分野・2分野から「学年別」教科書へ。 
◆教科書ページ数平均、45%増!

 今までの1分野(物理や化学)、2分野(生物や地学)などの学習内容による4分冊形式から、学年別の3分冊発行に変更されているのが大きな変更です。
 内容的には、現行教科書から削除されていた、中1:「水圧と浮力」「種子をつくらない植物」「地層の変化(断層・しゅう曲)」など、中2:「電力量」「生物の変遷と進化」「酸化と還元(中3から移行)」「化学変化と熱(中3から移行)」「細胞(中3から移行)「無セキツイ動物」「陰極線」「四季の天気」など、中3:「イオン・酸・アルカリ・中和」」「力の合成と分解」「仕事率」「月の満ち欠け」などがそれぞれ復活しています。
 特徴的なこととしては、学習が生活に役立つことに気付かせる内容が取り入れられており、「ガソリンで自動車を動かせるのは何故?」というような日常生活の中からの疑問などを題材としたものなど、さまざまな工夫がされています。また、数学と同様にスパイラル的要素(小学生復習内容の確認、前学年の内容)が充実しています。

 

【英語】
◆単語数増、900語→1200語へ! 
◆教科書ページ数平均、23%増!

 今年度より小学校で英語必修となったことが意識され、中1の巻頭では「英語のあいさつ」や「会話表現」などの小学校内容の復習からはじまっています。
 2000年のゆとり教育の時に大幅に削減されました中学3年間で学ぶ単語数が、今回の学習指導要領改訂による、現行の900語から「1200語」に増加しています。語彙の定着を図ることをねらいとして、「インターネット掲示板で英語で議論」という身近な設定の表現課題や読み物が増えています。
 各教科書単位において、文法内容の学年間の移動が若干あります(例:「受け身」を中3→中2へ)。
 また、コミュニケーション能力を養うことをねらいとした、英語で自分の意見を書いたり発表したりする内容も充実しています。

 

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